テキストマイニングとは何か?注目されるようになった理由や活用事例も解説

テキストマイニングとは何か AI

近年、AIや機械学習の分野が注目されていますが、中でもホワイトカラーの業務効率化に向けて自然言語処理は不可欠な技術です。自然言語処理とは私たちが日常的にコミュニケーションで使用している言葉をコンピューターが理解し、さまざまな用途に役立てるものですが、その手法のひとつに「テキストマイニング」というものがあります。

テキストマイニングの仕組みを理解すると、AIを業務効率化に活かす場合の基本的な考え方や具体的なユースケースもイメージできるようになります。今回の記事では、テキストマイニングとはどのような手法なのか、何ができるようになるのかはもちろん、具体的な活用事例なども含めて詳しく解説します。

テキストマイニングとは

テキストマイニングとは
そもそもテキストマイニングとは、文章データの中から情報を取り出すための手法のことです。
たとえば「iPhoneはアップルが提供しているスマートフォンです。」という文章があったとします。この中には「iPhone」「アップル」「スマートフォン」という3つのキーワードが出てきますが、私たちは無意識のうちにこれらの情報を分別し理解することができます。しかし、コンピューターには本来そのようなことができません。

言葉の中には名詞、接続詞、動詞など、さまざまな品詞があります。「iPhone」や「アップル」といったワードは名詞にあたります。これら一つ一つの言葉の意味を理解し、文章の中にどのような情報が含まれているのかを整理し分析するのがテキストマイニングという技法なのです。

ちなみに、言葉の定義や意味合いは時代とともに変化してくるものです。上記の例文においては、「iPhone」「スマートフォン」という言葉は今でこそ当たり前に使われるようになりましたが、2000年代前半までは一般的ではありませんでした。

「iPhone」に至っては言葉すら存在していなかったでしょう。また、「アップル」という固有名詞も、果物を意味する言葉なのか世界的なIT企業を意味する言葉なのか、文脈によって全く意味が異なってきます。時代とともに変化する言葉の定義を的確に捉え、その文章が何を意味しているのかを分析するためには、辞書を改訂するように言葉の定義もアップデートしていく必要があるのです。

テキストマイニングが注目されるようになった理由

近年、テキストマイニングが注目されるようになった背景には、さまざまな理由が考えられます。中でも注目すべき3つのポイントを紹介しましょう。
テキストマイニングが注目されるようになった理由

AI・ビッグデータの処理能力向上

1つ目は、コンピューターの性能がアップしAIおよびビッグデータの膨大な処理が可能になったことが挙げられます。必要な単語のみを抜き出す用途であれば、AIでなくともプログラミングによって簡単なアプリケーションやソフトウェアを構築することができます。しかし、文章構造を理解したうえで文脈の中から正しい情報を把握するためには、膨大なビッグデータを解析しなければなりません。

コンピューターが自ら学習できるディープラーニングの技術を応用することで、文章からテキストマイニングを行う手法が確立されます。

誰もが手軽に情報を発信できるようになった

2つ目のポイントとしては、スマートフォンの普及によって、誰もが手軽にSNSなどで情報発信ができる時代になったことです。毎日のように目まぐるしく変化する社会情勢や消費者のニーズを分析し、トレンドを的確に把握することはあらゆるビジネスに求められる要素といえるでしょう。

たとえば自社の商品やサービスを利用しているユーザーの声をSNSから収集しようとしたとき、何千、何万といった声を一つずつ拾い上げて集約することは手間のかかる作業です。そのような場合においても、テキストマイニングを活用すればどのような意見をもったユーザーが多いのかが分かり、改善すべきポイントも見えてくるはずです。

働き方改革による業務効率化

働き方改革に本腰を入れて取り組む企業が増える中で、業務効率化や生産性向上は企業に求められる大きな課題となっています。働き方改革は残業時間の削減や有給休暇の取得推進が本質ではなく、それ以前に業務効率化を実現し従来の工数を削減する必要があります。

ホワイトカラーの業務効率化に向けてRPAの活用が注目されていますが、たとえば請求書や納品書をフォーマットに沿って作成したり、メールの文面から特定の情報を抽出してシステムに入力するなど、定型的な業務を効率化するためにテキストマイニングは重要な要素技術です。

テキストマイニングの活用事例

テキストマイニングは業種を問わずさまざまな分野で役立つと期待されています。具体的な活用事例として、3つの用途を紹介しましょう。
テキストマイニングの活用事例

SNSにおけるトレンド解析

一部のSNSでは、何が話題になっているのかトレンドを分析できる機能が搭載されています。不特定多数のユーザーが投稿した膨大な内容を精査することで解析に役立てており、このような用途にはテキストマイニングの技術が欠かせません。

単に特定ワードの出現頻度を抽出してしまうと、たとえば「を」や「は」などトレンドとは無関係のワードがピックアップされてしまいます。このような問題を解決するために、トレンド解析では高度なテキストマイニングが要求されます。

アンケートの集計

たとえば「満足度を5段階で評価する」など、数値化できるアンケート内容であれば単純な集計が可能ですが、自由に文章として記述する方式のアンケートの場合、その内容を読んで理解しなければなりません。通常、書いてある文字をデータ化するにはOCRの技術があれば可能ですが、解答の内容がポジティブなものなのかネガティブなものなのかは判断することができません。

テキストマイニングを利用すれば、文脈の中からアンケートの内容を精査し、ポジティブなものとネガティブなものに分類することも可能です。

問い合わせ内容の集計・可視化

アンケートの集計と同様に、コールセンターなどで問い合わせ内容を集計、可視化する際にもテキストマイニングは役立ちます。たとえば音声認識技術を応用してオペレーターとエンドユーザーの会話をテキスト化し、テキストマイニングによって分析することによって、どのような問い合わせ内容が多いのかを集計できます。

また、問い合わせ内容に対してどのような返答をした場合にエンドユーザーの反応が良かったかを分析することも可能になるでしょう。

大規模なコールセンターではオペレーター以外が会話の内容を把握しづらく、問い合わせ内容を可視化することが難しいものです。オペレーターに都度問い合わせ内容を報告させることもできますが、業務負荷軽減のためにはテキストマイニングによって自動化する方法が理想的といえます。

テキストマイニングの活用事例 テキストマイニングのメリット
SNSのトレンド解析 無関係のワードを除外
アンケートの集計 ポジティブな意見とネガティブな意見を精査
コールセンターの問い合わせを集計 エンドユーザーの反応を分析