最新のテクノロジーは接客・サービス業界をどう変えるか?

最新のテクノロジーは接客・サービス業界をどう変えるか ビジネス

オフィスワーカーを中心にテレワークの活用やAIによる自動化、効率化が進められており、今後は単純作業から解放され創造的な仕事に従事する労働者が多くなっていくと考えられます。

しかし、主に顧客と向き合って仕事を行うサービス業や接客業の場合、そもそも業務の自動化や効率化は難しいと諦めてしまっている経営者も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、これからの将来において最新のテクノロジーは接客業界やサービス業界をどう変革していくのか、いくつかの事例も交えて紹介していきます。

コロナ禍によって浮かび上がったサービス業の現実

コロナ禍によって浮かび上がったサービス業の現実

新型コロナウイルスの感染拡大にともない、会社や学校、私生活においても人との接触を削減することが求められるようになりました。その結果、多くの学校では休校や短縮授業、登校人数を制限する措置が取られたほか、会社ではテレワークや休業をせざるを得なくなり、甚大な影響を及ぼしました。

オフィスワークが中心の業種であればテレワークでも影響を最小限に留めることもできましたが、サービス業や接客業の場合は人とのコミュニケーションが不可欠なケースも多いため現実的ではありません。

しかし一方で、今後新型コロナウイルスのような新たな感染症が発生するリスクを考えたとき、一切何も対策を講じておかないでいると事業に決定的な影響を及ぼし、廃業に追い込まれてしまう危険性もあります。

今回私たちが教訓にすべきなのは、業務の全てを自動化することが難しかったとしても、可能な範囲で属人的な作業を少しでも自動化できないかを検討することが求められるのです。

サービス業へのテクノロジーの活用事例

サービス業や接客業において業務の自動化や効率化は大きな課題であることは分かりましたが、実際にどのような事例があるのでしょうか。いくつかの業種ごとに自動化が採用されている事例を紹介します。

タブレットによるオーダーシステム

タブレットによるオーダーシステム
居酒屋やレストランなどの飲食店において、それぞれのテーブルにタブレット端末などを用意しておき、従業員がテーブルを回らなくてもセルフでメニューをオーダーできるシステムがあります。
大規模なシステム開発費用や導入準備費用がかかると懸念する経営者も多いですが、実は端末1台ごとに数百円程度でレンタルサービスを提供している事業者も存在し、安いコストで手軽に導入できるようになっています。

ロボットによる巡回や商品配達

海外の宿泊施設やカフェ、飲食店などでは、積極的にロボットを活用している事例も存在します。
たとえば宿泊施設の場合は、宿泊客からアメニティや薬、新聞などの依頼を受けることがあります。従来は従業員が部屋を回って届けていたのですが、配達用のロボットを導入することによって限られた人手であっても対応が可能になりました。

レストランやカフェなどにもロボットを導入し、商品の配達に役立てているケースもあり、今後日本国内でも本格的に導入が進んでいくと考えられます。

キャッシュレス決済とセルフレジ

販売や接客業、サービス業において必ずといって良いほど多くの時間を取られているのがレジでの会計作業です。

最近ではQRコード決済を利用するユーザーも増えており、高まる需要に合わせてキャッシュレス決済を導入する店舗も多いです。また、従業員の手を煩わせることなく会計が可能なセルフレジも大手コンビニチェーンの一部店舗やスーパーなどで導入が進んでおり、今後多くの店舗にも普及が期待されています。

求められるサービス業の改革

求められるサービス業の改革

個人が経営している中小の店舗においては大胆な設備投資が難しく、上記で紹介したような最新のテクノロジーの導入はできないと諦めてしまいがちです。その結果、具体的に検討することなく今の業務をそのまま継続していくことを選択する経営者も少なくありません。

しかし、業務のすべての自動化することは難しくても、まずはコストや優先順位を考え、できることから始めて少しでも前進させることが必要です。特にオーダーシステムやQRコード決済などは個人経営の店舗であっても安価に導入できるケースは多く、使い方次第でアルバイトを新たに雇うよりもコストが抑えられることもあります。

はじめのうちは慣れないシステムや機械の操作に戸惑うこともあるかもしれませんが、毎日のように使っていくうちに操作にも慣れてきて、むしろシステム化されていない以前の業務に戻りたくないと感じる経営者も少なくありません。また、お店を利用する顧客や消費者にとっても、自分のペースで商品をじっくり選んだりスタッフに対して余計な気を使うこともなくなるため、満足度が向上しリピート客の増加にも期待できます

テクノロジーの活用が失敗しがちなケース

テクノロジーの活用が失敗しがちなケース

業務の自動化や効率化と聞くと、大規模なシステム化が必要で莫大な導入コストが必要なイメージをもってしまうものです。中小企業や個人で経営している店舗の場合、大手チェーンが採用しているような本格的なシステムをはじめから全て揃えるのではなく、自社で導入できることから少しずつ始めていくことが求められます。

最初の時点で完璧なシステムを揃え、一気に従業員の数を減らしてしまうと、お店の業務が回らずに来店客に対して迷惑をかけてしまうことも考えられます。そのため、まずはスモールスタートを心がけ、できる範囲内でテクノロジーをうまく活用していくことが重要といえるでしょう。

効率化・自動化に欠かせないクラウドシステム

キャッシュレス決済やオーダーシステムのように安価なコストで手軽に導入できるシステムが続々と登場していますが、これらを実現するために重要な技術的要素とされているのがクラウド化されたシステムです。従来、これらのようなシステムを構成しようと考えると、自社にサーバを置き専任のエンジニアが管理するオンプレミス型のシステムが一般的でしたが、現在ではそのような手間が不要なクラウドシステムが一般的となっています。

インターネット環境さえあればすぐにでも始められるのがクラウドシステムの良いところで、専任のエンジニアがいなくても適切かつ手軽にシステムの管理ができます。システムのコスト削減と運用の手間を容易にするクラウドシステムは大企業でもさまざまなものが活用されており、今後導入する事業者が増えれば増えるほどさらに価格も安価になっていくと期待されます。

AIやIoT、ロボットなど先進のテクノロジーを業務に活用する際には、ぜひクラウドシステムというキーワードもあわせて覚えておくとシステムの選定もしやすくなるはずです。