ホテル業界のIoT活用事例を紹介:スタッフの省力化や顧客満足度の向上へ

ホテル業界のIoT活用事例を紹介 ビジネス

現在日本では、東京オリンピック開催に向けてホテルの建設が進んでいます。
しかし、今後の課題となっているのがホテルスタッフや部屋の清掃員不足への対策や、外国人観光客への対応です。

そこでホテル業界では、人手不足や外国人観光客増加に対応するため、IoTを活用したシステムやスマートホテルを導入し始めています。この記事では、ホテル業界におけるIoT活用事例を紹介します。

ホテルが抱えるスタッフ・清掃員不足の問題

ホテルが抱えるスタッフ・清掃員不足

近年ホテル業界における問題の1つに部屋の清掃員やスタッフ不足があります。特に部屋がきれいに掃除されていると利用者の満足度も高まるため、ホテルにとって頼れる清掃員の存在は非常に重要です。

しかも、日本への外国人観光客の増加の影響もあり、都心部のホテルはほぼ満室状態です。そのため、清掃員やスタッフの数が足りず人員を確保するために高い人件費をかけなければならない場合もあり、毎日ほぼ満室でありながらも経営が厳しいホテルもあるほどです。

そこで注目されているのがホテル業界でのIoTの活用です。IoTを利用すれば、従来よりも効率的に業務が遂行できるため少ない数の清掃員とスタッフでも十分な作業が行えるようになります。さらに高騰している人件費も削減でき、顧客満足度の向上も実現します。

ホテルのIoT活用事例

では具体的にホテルにIoTを導入すると、どのようなことが可能になるのでしょうか。実際のホテルにおけるIoT活用事例を紹介します。

ウェアラブルデバイスで清掃作業を効率化

ホテルのIoT活用事例
従来のホテルでは清掃担当者がある部屋の掃除を終わる度に、どの部屋が空室なのかを確認して次に清掃する部屋を決めなければなりませんでした。もしも部屋の掃除中に、次に掃除する部屋を把握できれば、次から次へと部屋の清掃作業を進めることができます。

そんな効率の良い清掃作業を実現できるのが、ウェアラブルデバイスの活用です。ウェアラブルデバイスとは人が腕や身体に身につけられるIoTデバイスです。例えば、「Cygnus(シグナス)」というウェアラブルデバイスを使用しているホテルがあります。

「Cygnus」では、IoTコントローラーを客室に設置しておくとセンサーによって人がいるかいないか、もしくは清掃の必要があるかどうかを把握できます。そして、IoTコントローラーが清掃担当者の持つウェアラブルデバイスに情報を送信すると、清掃担当者はすぐに清掃の必要がある部屋を把握できるという仕組みです。

フロントへの自動精算機の導入でスタッフの業務負荷軽減

ホテルのフロントに設置された自動精算機は、すでに利用したことのある方もいらっしゃるでしょう。
従来はホテルにチェックインする際はフロントでルームキーを受け取り、チェックアウトの際もフロントで料金を支払う必要がありました。

混みあう時間帯にフロントに行ってしまうと、チェックイン・チェックアウトだけで数分待たなければならないこともありますよね。
そこでフロントに自動精算機を導入するとチェックインの際、利用者はフロントで宿泊カードにのみ記入すれば後は自動精算機で先払いの宿泊料を支払い、ルームキーを自動発行できます。

またチェックアウトの際も自動精算機で清算を済ませ、ルームキーを返却するだけなので朝の急いでいる時間帯でも利用者はスムーズにチェックアウトを済ませられます。

自動精算機をホテルに導入するメリットは他にもあります。例えば、近年は外国人観光客が増加していますが、機械による案内は英語や中国語など多言語にも対応しているので外国人にも分かりやすいのが特徴です。

さらに自動精算機の設置により、チェックイン・チェックアウトに係るホテルスタッフの業務負担も削減でき、スタッフは余裕を持って接客を行えるようになります。

IoTの暮らしを体験できるホテル「AND HOSTEL」

and hostel
IoTを活用して部屋のルームキーや空調、照明のオンオフまで全てスマートフォンで行えるスマートホテルが日本全国に続々と誕生しています。
例えば、上野や浅草、福岡などに展開している「AND HOSTEL」はIoTのある暮らしを体験できるホテルです。

「AND HOSTEL」では、スマートフォンひとつで部屋の鍵の解錠やエアコン・照明のオンオフを行えます。従来のIoTデバイスでは、家電ごとに異なるアプリを立ち上げてスマートフォンから家電を操作する必要がありました。しかし「AND HOSTEL」では専用のアプリを用いて全ての制御を1つのアプリから行えるのでスムーズに操作できます。

そして、スマートフォンを用いるもう1つの大きなメリットは多言語に対応できる点です。スマートフォンの言語設定をホテルの利用者の使用言語に合わせておけば、どこの国の人でも簡単に操作でき、外国語の苦手なホテルスタッフでも利用者にスマートフォンを手渡して滞りのない案内が行えます。

ホテルのIoT化でスタッフの省力化を実現

スタッフの省力化

ホテルにIoTを導入すると清掃員が効率よく各部屋を回れるため、余裕をもって丁寧に掃除できるようになります。フロントに自動精算機を設置すると、ホテルスタッフのチェックイン・チェックアウトに係る時間を削減できます。

さらにIoTを活用したスマートホテルでは、多言語に対応したスマートフォンアプリによって簡単に鍵や照明の操作が行えるため、最新技術に関心の高い利用者にもホテルライフを楽しんでもらえるでしょう。このようにホテルのIoT化はホテルスタッフや清掃員の業務負荷軽減だけでなく、ホテル利用者の満足度の向上にも役立ちます。