ブロックチェーンとは?ビジネスへの活用から将来性まで解説

ブロックチェーンとは

仮想通貨でもおなじみのブロックチェーンという技術ですが、言葉は聞いたことがあっても詳しい内容までは理解できていないという人が多いのではないでしょうか。ブロックチェーンは仮想通貨特有の技術と考えられがちですが、実はそれ以外にもさまざまな活用方法があり注目されています。

今回の記事では、ブロックチェーンとはそもそもどのような技術なのかを詳しく紹介するとともに、仮想通貨以外の活用事例なども含めて解説していきます。新たなテクノロジーをビジネスのヒントにしたい方、技術トレンドを勉強しておきたい方はぜひ最後までお読みいただき、参考にしてみてください。

ブロックチェーンとは

ブロックチェーンの概要
まずはブロックチェーンの基礎から詳しく解説していきましょう。ブロックチェーンとはその名の通り、「ブロック」ごとのデータが「チェーン(鎖状)」のように繋がったものをイメージしていただけると分かりやすいはずです。日本語では「分散型台帳技術」ともよばれますが、取引データをどこか1ヶ所の組織や団体、企業などが集中的に管理するのではなく、世界中のネットワークでつながったホスト(コンピュータ)同士によって相互に管理し合うというものです。

これはまさにインターネットの仕組みと似ていて、たとえばどこかのケーブルが切断されたりルータが故障したりしてネットワークが分断されたとしても、他のルートを迂回して通信が可能になります。ブロックチェーンは仮にどこかのタイミングでデータを書き換えようとしても、ブロックチェーン上にある過去の全ての情報を同時に書き換える必要があるため現実的にデータの改ざんは不可能とされています。

ブロックチェーンの特徴

ブロックチェーンの特徴
ブロックチェーンには大きく分けて以下のような特徴があります。

ブロックチェーンの特徴
  1. 相互に監視している
  2. 暗号化されたデータをやり取りする
  3. 過去データは全てブロックチェーン上に記録される
  4. 中央管理者がいない

ブロックチェーンの最大の特徴である相互監視や中央管理者がいないという点については、先ほどのステップで紹介した通りです。同時に、ブロックチェーン上には過去の取引データも暗号化された状態で保存されています。従来のネットワークのように、特定のサーバを攻撃すればシステム全体がダウンしたり、データをハッキングされてしまったりというリスクがありません。

ブロックチェーンの安全性

ブロックチェーンの安全性
ブロックチェーンにおいてよく誤解されがちなのが、過去に発生した仮想通貨の流出事件によって「仮想通貨は危ない=ブロックチェーンは脆弱な技術」という認識を持たれることです。これまでさまざまな取引所から不正アクセスによって仮想通貨が漏洩し、顧客に損害を与えたというニュースが報道されてきました。しかし、これらはいずれもブロックチェーンそのものが狙われたのではなく、取引所がピンポイントで狙われたことによって起こった事件です。

本来仮想通貨は取引所を介さなくても取引自体は可能なのですが、買い手と売り手をマッチングできる場は限られています。そこで、証券取引のように仮想通貨を手軽に売買できるプラットフォームとして取引所が生まれました。取引所ではスムーズに仮想通貨の売買ができるように、一時的に仮想通貨をプールしておくのですが、ここがハッカーに狙われ大量の仮想通貨が流出する事件に至ったのです。

すなわち、過去に起こった仮想通貨の漏洩事件はいずれもブロックチェーンそのものに脆弱性があったわけではなく、取引所のセキュリティ対策の甘さによって引き起こされた事件といえるのです。逆に考えれば、取引所を介さず自分自身で仮想通貨を管理しセキュリティ対策をしっかりしておけば、ブロックチェーンを活用した仮想通貨がもっとも安全であるといえるでしょう。

ブロックチェーンの仮想通貨以外での活用方法

ブロックチェーンの活用方法
仮想通貨ばかりがフューチャーされがちなブロックチェーンですが、実はさまざまな用途への応用も検討されています。いくつか代表的な事例を紹介しましょう。

自動車整備の記録

トヨタのグループ会社でもある自動車部品メーカー「デンソー」は、ブロックチェーンに自動車の整備内容を記録するシステムを開発しています。特に自動車の修復歴や走行距離などは自動車の価値を決定付ける大きな要素でもあります。これらのデータが改ざんされていると、中古車の不当な取引も成立してしまうため重要な課題とされてきました。

デンソーはブロックチェーンを活用して自動車の状態を記録し、不正なデータ改ざんができないようにする取り組みを行っています。

食品の生産者管理

ブロックチェーンを活用すると、さまざまな食品がどこで生産されて、どこで加工されてきたのかを管理することも容易になります。このような活用方法を「トレーサビリティ」とよび、食品だけではなくあらゆる製造業に応用することも可能になります。

著作権の管理

さまざまなコンテンツがインターネット上で手軽に閲覧、視聴できるようになり便利な世の中になりました。しかし同時に、著作権など知的財産権を侵害するケースも増えており社会問題化しています。そこで、どの著作物がどこの個人、または会社に著作権が帰属しているのかをブロックチェーン上に記録しておけば、ある程度の違法コンテンツは対策が可能になると考えられています。

さまざまな方法に悪用するユーザーは多いため100%著作権侵害を防ぐことは難しいかもしれませんが、これまでと比較すると十分な抑止力にはなると期待されています。

ブロックチェーンが通貨に採用された理由

仮想通貨に採用された理由
ブロックチェーンは仮想通貨以外にもさまざまな用途に応用できる技術ですが、ここで疑問になるのが「そもそもなぜ最初に通貨への用途として採用されたのか?」ということ。仮想通貨以外にも用途はあったはずなのに、なぜあえて通貨を選ぶ必要があったのでしょうか。

そこにはいくつかの理由が考えられるため、一つずつ解説していきましょう。

送金コストの節約

一般的に国内外に現金を送金する場合、銀行などの金融機関を通して手続きを行います。それは現金を物理的に直接輸送するよりも安全で、短時間で送金できるメリットがあるためです。

しかし、たとえば国内の異なる金融機関への口座へ振り込む場合は振込手数料がかかるのが一般的です。これが海外宛ての送金となると、数百円単位での手数料では済まず、数千円単位での手数料が発生してしまいます。また、実際に振り込みが反映されるまでにも時間を要し、「今すぐに振り込んでほしい」というニーズにはどうしても対応できません。

しかし、ブロックチェーンを活用した仮想通貨であれば、銀行のような中央管理者がいないため、ユーザー同士で自由に取引を行うことができます。取引所を介すと手数料は発生しますが、それでも海外の金融機関宛てのような数千円単位での高額な手数料ではないため安価です。

通貨への信頼性

日本国内に住んでいるとあまり実感は湧きづらいものですが、そもそも通貨の価値は日々刻々と変化しています。為替取引によって「円安」や「円高」という言葉を耳にしたことがある人も多いと思いますが、日本円を外貨に両替する際には日によって金額も異なってきます。

日本円は世界的に見て比較的通貨の価値が安定しているのですが、なかには通貨の価値が大きく変動しやすい国や地域も存在します。特に中東やアフリカ、東南アジアの一部新興国などの場合は、情勢が不安定で通貨の価値が極端に低いところも珍しくありません。
そこで、そのような国では自らの資産を現金として持っておくのではなく、ビットコインなど他の資産に換えておいたほうが価値が安定し、通貨の暴落などがあっても安心できるのです。

また、為替相場以外の理由としては偽札対策も挙げられます。日本国内において偽札はほとんど流通していませんが、海外では偽札が横行している国も珍しくありません。万が一「お釣りでもらったお金が偽札だった」というリスクを避けるためにも、キャッシュレス決済のニーズが高まるようになりました。

今でこそQRコード決済や電子マネーなど多様化していますが、ビットコインが誕生した背景にはそのような事情もあります。

ブロックチェーンの将来性

現在、ビットコインをはじめとした仮想通貨のバブルは落ち着いている状況です。しかし、ブロックチェーンのビジネスへの活用はこれから本格的に始まっていくと考えるべきです。

もっとも重要なのは、ブロックチェーンはそれだけの技術単体で応用できるものではなく、複合的にさまざまな要素を取り入れる必要があるということです。たとえば今回紹介した活用方法にあった「自動車整備の記録」の場合、さまざまな整備データを集めるために自動車の内部にIoTセンサーを取り付けることも必要になってくるかもしれません。

ブロックチェーンに精通したエンジニアはテクノロジーに詳しいですが、ビジネスへの活用という意味ではさまざまな業種の意見やアイデアを取り入れる必要があります。そのためには、今回紹介してきたようなブロックチェーンの特徴や性質を把握しておき、「自社のこんな業務に活用できないか」といった想像を働かせることが重要になってくるはずです。