工場におけるIoT活用事例:作業効率化・従業員の業務負荷削減に

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IoT(モノのインターネット)の活用により、日本のものづくり産業のあり方が変化しています。中小企業では後継者不足や人材不足が深刻で、その問題解決の手段としてIoTを積極的に利用しています。

そこで今回は、日本のものづくりの拠点として重要な役割を果たす工場へのIoT活用事例をご紹介します。

画像と動画を使ったマニュアルで工場内作業を分かりやすく

画像と動画を使ったマニュアル

多くの工場では、作業員が効率的に作業を行うための作業マニュアルが用意されています。しかし、作業に不慣れな人の場合、文字ベースの作業マニュアルを読むだけでは理解できないことも多いでしょう。その場合、周囲にいる先輩作業員に不明点を確認しなければなりませんが、そのためには他の作業員の作業を止めてしまうことになるので質問しづらい場合が多いです。

そこで、工場の作業マニュアルを従来の文字ベースから、画像や動画を使用したデジタルなものに入れ替えた工場があります。その工場が取り入れたのは、マニュアル作成ソフト「Teachme Biz」です。「Teachme Biz」を使用すると、画像や動画を多く使った分かりやすい作業マニュアルが簡単に作れます。

Teachme Biz
画像引用元:Teachme Biz

作成したマニュアルはタブレットで閲覧できるので、作業員はタブレットに収納されたマニュアルを見ながら作業が行えます。もし分からないことがあってもマニュアル内のキーワード検索やQRコードを使って該当する箇所に飛べるため、他の作業員の手を止めさせて質問する必要がありません。

さらに、先輩作業員が、自分の失敗体験談をマニュアルに投稿していくことで、後輩が同じ失敗をしてしまうのを防止できます。

私たちの生活の中でも、文字だけのマニュアルを読むよりも画像や動画で実際と同じ作業をしながら説明してくれるマニュアルの方が分かりやすいという方も多いでしょう。

不慣れな作業員でも分かりやすいマニュアルを使えば、作業に慣れるまでの時間を大幅に短縮でき、従来よりも早く効率的に作業を行えるようになります。

夜間も運転を行う装置にセンサーを取り付け、異常を予知

夜間も運転を行う装置にセンサー

熱処理炉など夜間も運転を続ける工場では、トラブルが発生するたびに施設管理者が装置の稼働状況を確認しなければなりません。

トラブルが生じてからの対処だと、原因究明や修理のために多くの時間を費やしてしまい、その間は装置を停止しなくてはならない場合も多いので工場の稼働が非効率になってしまいます。

その場合に役立つのがIoTです。工場にIoTを導入すると、熱処理炉などの装置にセンサーを取り付け、装置の運転状況をパソコン又はスマホから確認できるようになります。すると、リアルタイムで装置の詳細部分の状況を確認できるため、異常を予知できます。

装置の状況を把握しつつ異常を予知できるようになると、トラブルが発生する前に点検・修理が行えるので装置を停止する時間を大幅に減らせます。

このようなトラブルの事前予知システムの開発も進んでいます。株式会社 Archaic(アルカイック)は、対象の状態変化を事前に予知する「AIセンシング管理技術」を開発しました。この技術はセンサーとAIを活用して対象の状況を分析し、異常を予知すればアラートを出す仕組みです。

工場で働く従業員不足が問題視されている中、夜間に工場の監視を行う人材も不足しています。そのため、夜間にトラブルが起こると限られた人数で対処しなければならないため、時間も労力もかかってしまいます。IoTやAIの活用は、従業員の業務負荷を大きく削減できるでしょう。

注文から製造までの生産状況を一連管理して作業効率化

一連管理して作業効率化

鋳物工場では、製造する鋳物の素材や形が注文ごとに異なることが多く、受注から製造までの各工程での作業が複雑で、費用も労力もかかっていました。そこにIoTを導入して、制御装置から生産設備の稼働状況を取得して注文情報と関連付けると、パソコンやスマホから注文ごとの生産状況が把握できるようになります。

さらに、生産状況取得に必要なデータは制御装置などから取得するので、従来のように作業員が工程ごとに状況を手入力する手間が省けます。

鋳物工場へのIoT導入は、今までの工程ごとに発生するタイムロスを削減するだけではありません。従来は人が危険な電気炉に立ち入って行っていた温度計測もセンサーにより行えるようになったので、従業員の安全を守り作業負荷を軽減できます。

取得したデータは保存して分析も行えるため、作業に慣れていない作業員は製品ごとのデータを見直して、過去に先輩作業員が記録した各工程の手順や温度管理のノウハウを学習できます。

IoTの活用で工場での作業を効率化・従業員の負担を削減

IoTの活用で工場での作業
IoTを工場に導入すると、センサーを活用して温度や圧力を測定し装置や工場の稼働状況をリアルタイムに監視できるようになります。従来では、作業員が各工程を監視し装置の稼働状況も一つ一つ確認する必要がありましたが、IoTの活用により作業員はパソコンやスマホから状況をチェックし、気になる箇所だけを目視で確認できるようになりました。

そのため、工場で働く従業員の業務負荷を大きく削減でき、人手不足も解消できます。また今後は、IoTとAIを組み合わせたシステムによって、より正確な分析が行えるので、現在よりも効率的に工場を稼働させられるようになるでしょう。