Google HomeやAmazon Echoが日本へ上陸し、スマートスピーカー元年といわれた2017年から早くも3年が経過します。当時は考えられなかった、スマートスピーカーが生活の一部として利用されるのが一般的となり、世間に広く認知・浸透してきました。
そんな中、2019年にはスマートスピーカーの次世代モデルともいえる『スマートディスプレイ』が各メーカーから続々とリリースされています。
2020年はこのスマートディスプレイが、さらに1ステップ進化した生活シーンを作り出し、スタンダードとなる年になりそうです。
そこで本記事では、スマートディスプレイとは一体どんなものか、スマートスピーカーとの具体的な違いや代表モデルを紹介していきます。
目次
スマートディスプレイとは?スマートスピーカーとは何が違う?
スマートディスプレイとは、一体どのようなデバイスなのでしょうか。
スマートスピーカーでできたことは、どこまでできるのか?といった具体的な違いも合わせて解説していきます。
スマートディスプレイはディスプレイ付きのスマートスピーカー
スマートディスプレイは、そのネーミングのとおりディスプレイが搭載されたスマートスピーカーのことです。基本的にはどのメーカーのスマートディスプレイも、スマートスピーカーへディスプレイ機能が純粋に新規追加された形になっています。
スマートスピーカーと同じ音声認識エンジンを搭載しているので、できることはそのまま引き継がれています。
使い方は、スマートディスプレイを「OK, Google」「Alexa」といったウェイクワードで起動し、続いて行いたいアクションを話しかけるだけです。
すると、スマートディスプレイからレスポンスが返ってきます。
スマートスピーカーとの主な違いは、このレスポンスです。
ディスプレイがあることで、音声情報に加えて画面へ視覚情報を表示させられるようになりました。音声の補足的な情報としてはもちろんですが、やはり画像表示や動画再生がスマートディスプレイならではのポイントになってきます。
加えて、タッチディスプレイなのでタッチ操作にも対応しています。
スマートディスプレイとスマホの違いとは
スマートディスプレイが音声認識エンジン搭載のディスプレイなら、「SiriやGoogleアシスタントの搭載されたスマホと変わらないのでは?」そう思う方もいるかも知れません。
しかし、スマホは移動を前提とした端末であり、音声操作はスマホに最適化されています。一方のスマートディスプレイは、基本的に自宅に据え置き型という想定です。スマホのような移動を伴う利用には向きませんが、ロック解除が不要で画面も大きく見やすい、といった特徴があります。
また、スマホを持っていない家族も、一緒に利用できるといったメリットもあるでしょう。アプリに関しても、上記のポイントに配慮した最適設定になっています。
スマートディスプレイならではのメリットとは
では、実際にディスプレイによってどんな違いやメリットが出てくるのでしょうか。具体的な使い方や機能を通して、スマートディスプレイの有用さをチェックしていきましょう。
大きくは、次の3つのポイントが挙げられます。
- ディスプレイで音声操作の使い勝手は段違いにアップ
- ファミリーにイチオシのフォトフレーム機能
- カメラでさらに機能がプラスオン
体験してみるとこれまでの使い勝手がとかなり変わるため、その違いに驚くこと間違いなしです。
ディスプレイで音声操作の使い勝手は段違いにアップ
画像引用元:ロボスタ
画面で視覚的に情報をチェックできるようになったため、スマートスピーカーよりも音声操作の使い勝手がググッとアップしています。これまでスマートスピーカーで使えていた機能であっても、視覚情報が加わるだけで大きな違いを感じます。
具体的な生活シーンに合わせて、その使い勝手の良さを見ていきましょう。
- ニュースや天気、経路検索の視覚的サポート
- キッチンで調理中のレシピ表示、タイマー表示
- YouTubeなどの動画再生
ニュースや天気、経路検索の視覚的サポート
スマートディスプレイは、ニュースや天気、経路情報のレスポンスを視覚的にサポートしてくれます。もちろん、スマートスピーカーでもニュースや天気、経路情報は音声で確認できました。ただ、スマートスピーカーだと音声の聞き取りに集中する必要があり、ながら聞きには向いていません。もちろん会話をしながら、ニュースや天気を確認することもできません。一度、会話を中断する必要があります。また経路検索では、道順を音声で聞いてもあまり頭に入ってきませんよね。
一方のスマートディスプレイでは、ディスプレイにも情報表示しれくれます。聞き逃してしまったとしても、後からディスプレイをチェックすれば問題ありません。
あくまでも補足的になりますが、さりげないながらも実際に体験するとその便利さを実感する機能の1つです。朝の出勤やお出かけの準備で忙しいときの情報チェックを、より快適にしてくれます。
キッチンで調理中のレシピ表示
スマートスピーカーは調理との相性が非常に良く、利用されている方も多いでしょう。手が汚れていたり濡れていたりしても、話しかけるだけで操作できるから便利ですよね。
実はスマートディスプレイを使うと、もっと便利になります。
まずは、レシピ表示です。レシピサイトの画像を見ながら料理ができるため、調理工程をイメージしやすくなります。
レシピ内容も、スマートスピーカーなら音声読み上げですが、スマートディスプレイなら文章表示もされるので不便に感じることはありません。調味料をそれぞれ計量してから進めるときも、何度も音声で確認しなくて済みます。
さらに、次の調理工程への送るときも、音声に加えてディスプレイのスライドにも対応しています。
タイマー表示も地味に嬉しい
また、調理中によく使うタイマーもディスプレイ表示が便利に感じます。スマートスピーカーだと、スタート後はタイマー終了までカウントダウンされません。
スマートディスプレイなら、あとどれくらいでタイマーが終了するかひと目で分かるので、次の工程を意識しながら別の調理を進められます。パスタを茹でながらソースを作るときも、タイマー終了音が鳴ってから慌ててパスタを取り出すことはなくなるでしょう。
スマートディスプレイは、料理をこれまで以上に楽しく、効率的にしてくれる頼もしい味方になってくれます。
YouTubeなどの動画再生
言わずもがなですが、スマートディスプレイではYouTubeなどの動画再生が可能です。「OK, Google、◯◯の動画流して」と話しかけるだけで、連携した動画サービスで好きな動画を流してくれます。
スマートディスプレイは、iPadなどのタブレットよりも比較的安価に手に入るうえ、スマホよりも大きな画面で動画を視聴できます。キッチンなど少し離れた場所にディスプレイがあっても、問題なく動画を楽しめることでしょう。
再生できる動画サービスはスマートディスプレイに依存しますが、YouTube以外にもNetflixやHulu、U-Nextなど主要な大手サービスと連携しています。
また、動画サービスだけでなく、SpotifyやGoogle Play Musicなどの音楽サービスも、ディスプレイに歌詞が表示されるのが嬉しいポイントです。
ファミリーにイチオシのフォトフレーム機能
スマートディスプレイで個人的にイチオシしているのが、フォトフレーム機能です。GoogleフォトやAmazon Photosなどクラウドのフォトストレージサービスと連携すれば、保存している写真をスマートディスプレイへ次々に映し出してくれます。いわゆる、デジタルフォトフレームですね。
子供の写真をたくさん撮るものの、「よく考えてみると見返す機会は少ない」という方にデジタルフォトフレームはとてもオススメです。ただ、デジタルフォトフレームを購入しようとすると、安くても5,000円から普通のものなら1万円くらいはします。
そこで、スマートディスプレイの出番というわけです。フォトストレージサービスは、基本無料で(Amazon Photosはプライム会員限定で無料)利用できるので追加出費はかかりません。
しかも、スマートディスプレイ本体の価格レンジは、1万円~3万円ほどです。
それなら、フォトフレーム機能しかないデジタルフォトフレームより、ちょっと高くても音声操作機能も使えるスマートディスプレイを選んだほうが良いですよね。
また、フォトフレーム機能を利用しない場合も、ただの置物になるのではなく置き時計として活躍してくれます。置き時計や掛け時計をわざわざ買わなくても、スマートディスプレイがあれば事足りるのは嬉しいですね。
カメラでさらに機能がプラスオン
スマートディスプレイが登場しはじめた当初、カメラが搭載されていないモデルも珍しくありませんでした。しかし、今ではどのメーカーのスマートディスプレイにもカメラ機能が備えられています。
しかも、このカメラ機能がすごいんです。スマートディスプレイのカメラでは、おおむねこんなことができます。
- スマホやタブレットとのビデオ通話
- ネットワークカメラとして遠隔監視
- パーソナライズによるアカウント自動切替
- ジェスチャー操作
ネットワークカメラとして遠隔監視できれば、外出先からアプリで自宅の様子を確認できるので防犯的に安心です。
またジェスチャー操作では、音楽や動画再生の停止などわざわざ話しかけるまでもないことを、手をかざすなどのジェスチャーで操作できます。盛りだくさんすぎますね。
カメラは、入浴後などプライバシーに配慮したい場合は、機能をオフできるような配慮設定がされています。
スマートディスプレイよりスマートスピーカーが勝る点もある
スマートディスプレイは、基本的にスマートスピーカーの上位モデルといって差し支えありません。
ただ、スマートスピーカーが勝っているポイントもあります。それは、スピーカー性能と置き場所の柔軟性です。
スマートディスプレイは、スマートスピーカーよりもスピーカー性能が劣るため音質で勝てません。ディスプレイがある分、設計上スピーカーに割けるスペースが小さく、大きさや数を減らさざるを得ないからです。
また、当然ながらディスプレイで本体サイズが大きくなっているため、スマートスピーカーと比べると置き場所に柔軟性がありません。これまで、スマートスピーカーを設置していた場所に、そのまま設置できるわけではないのです。
とはいえ、スピーカー性能も置き場所も、あくまでスマートスピーカーに比べた場合の話です。
スピーカー性能は一定以上、サイズも大きくなりすぎないよう配慮されて設計になっています。スマートスピーカーから買い替えを検討される方は、スペックをよく確認しておきましょう。
スマートディスプレイの代表モデル
スマートディスプレイのうち、日本で販売されている代表モデルは次のようなものがあります。
- Google「Nest Hub」「Nest Hub Max」
- Amazon「Echo Show 5」
- LINE「Clova Desk」
- Lenovo 「Lenovo Smart Clock」「Smart Display M10」
価格帯は1万円〜3万円で、基本的な使い方は共通していますが、一部の機能は各メーカー特有のものもあります。特に、音質や連携するアプリ、カメラまわりの機能は大きく変わるポイントです。
どのモデルを購入するかは、その点をじっくり比較検討したうえで決めましょう。
2020年以降はスマートディスプレイこそがスタンダードに
スマートディスプレイは、これまでスマートスピーカーではできなかった、より高度な音声操作の体験を提供してくれます。
さらには、デジタルフォトフレームやネットワークカメラ、タブレットなどの機能が全部入りになった夢のようなデバイスです。にもかかわらず、価格は1万円〜3万円と破格の設定となっています。
まだスマートスピーカーを未体験という方は、ぜひスマートディスプレイの購入を第一に考えたいところです。また、これからはメインにスマートディスプレイを据え、スマートスピーカーはEcho DotやNest Miniのように安価なサブ機、といった利用パターンが増えるでしょう。
すでにスマートスピーカーをお持ちの方も、スマートディスプレイでより快適な音声操作による住空間を設計してみませんか。