今人気のサブスクリプション型ビジネスとはなにか、実現に有効なIoTの具体例を解説

サブスクリプション型ビジネスの実現にIoTが有効?具体例も交えながら解説 5G・IoT

時代の変化とともに人々の価値観は大きく変わり、従来のような「モノの購入や消費」から、現在では「サービスや体験型」のビジネスに移行してきています。音楽をはじめとしたエンタメの分野は典型的な事例で、かつては全盛を誇っていたCDという媒体での販売は下降し、オンラインによるストリーミング配信が主流になりつつあります。

このような時代の潮流に合わせ、既存型の物売りビジネスからサブスクリプション型のビジネスへと変革を検討している企業も少なくありません。今回は、サブスクリプション型ビジネスを実現するにあたり、テクノロジーはどのような役割を果たせるのか、具体例としてIoTを挙げながら詳しく解説していきます。

サブスクリプションとは

サブスクリプションとは

まずはサブスクリプション型ビジネスとはどのようなものなのか、基本的な概要から紹介します。

サブスクリプションとは英語で購読を意味する「subscribe」の名詞形です。本来は出版業界などで定期購読を意味する言葉として使用されることが多かったのですが、最近では「定額制」や「使い放題」という意味で使用されるのが一般的となりました。

従来のビジネスモデルは、消費者はモノを購入した後に資産として手元に残るのが一般的でしたが、サブスクリプション型のビジネスではモノやサービスを利用することに対してお金を支払うことになります。

たとえば家電製品のサブスクリプション型ビジネスを検討した場合、サービスの契約時には高額な費用を支払う必要がなく、毎月定額の料金を支払うことで最新の家電製品も少ないコストで利用できます。ただし、サブスクリプションの契約を終了してしまうと、それまで使用してきた家電製品は返却しなければならず、ユーザーの資産として手元に残ることはありません

サブスクリプションと定額制の違い

サブスクリプションと定額制の違い

サブスクリプションの基本的なビジネスモデルは上記で説明した通りですが、ここで疑問に感じるのが「定額制との違い」についてです。実はサブスクリプションと定額制のビジネスモデルには明確な違いはなく、多くの場合同じ意味として使われる傾向が高いです。

ただし、サブスクリプションと定額制が決定的に異なるのは「ユーザーにとっての利便性を考えているかどうか」ということ。

たとえば自動車業界においてもサブスクリプション型のビジネスモデルが登場しています。しかし、中には「単なるリース契約と何が違うのか」と疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。一般的なリース契約とは、同じ車種を長期的にわたって利用する契約を結びます。しかし、サブスクリプションはリース契約を結ぶ法人だけではなく、個人のユーザーも対象としているため、車種が豊富で短期間にさまざまなクルマに乗って楽しめるメリットがあります。

また、特に若い世代にとって大きな負担となる保険料についても、サブスクリプションの場合は料金に含まれていることが多いため安心です。このように、自動車のサブスクリプションは従来のようなリース契約とは異なり、ユーザーの興味を惹き需要を喚起するような魅力的なサービス内容が含まれているのです。

これは自動車業界に限らず、あらゆる業種におけるサブスクリプション型ビジネスに共通していることです。従来のような「定額制」「使い放題」という言葉をあえて使用せず「サブスクリプション」と呼んでいるのも、これまでのサービスとは異なる、ユーザーにとって魅力的なプランが用意されているためなのです。

サブスクリプション型ビジネスの事例

サブスクリプション型のビジネスを展開するうえでヒントとなるような事例をいくつかご紹介します。

音楽ストリーミングサービス

サブスクリプション型ビジネスの先駆けともいえるのが、音楽ストリーミングサービスです。数百万、数千万単位の音楽を月々1,000円前後の料金を支払えば聴き放題となる、画期的なサービスとして注目されました。

料金的なメリットはもちろんですが、ユーザーにとっては新しい音楽との出会いの場が格段に広がったことが大きいでしょう。これまではレンタルCDや1曲単位で購入できるオンライン販売もありましたが、定期的に新曲をチェックしているようなヘビーユーザーにとっては金銭的に負担の大きいものでした。

しかし、サブスクリプション型のストリーミングサービスが拡大したことによって、これまでは聴いてこなかった音楽ジャンルやアーティストにも触れられるように。また、各サービスによってはジャンルごとに最新のチャートやレコメンド機能も搭載しているため、トレンドに乗り遅れることなく楽しめます。

食材の宅配サービス

サブスクリプション型ビジネスの事例
新型コロナウイルスの影響もあり、最近実績を伸ばしているのが食材の定期宅配サービスです。家族の食事を作っている方にとって、毎日の献立を考えるのは意外と面倒なもの。毎日スーパーに通って買い物をする際にも、うっかり必要な食材を買い忘れてしまうこともあるでしょう。

このような悩みを解決するために生まれたのが、食材の宅配サービスです。食材と一緒に、簡単に料理が作れる献立キットが付属しており、調味料も必要な分量だけが届きます。毎日のようにスーパーに通って食材を調達する必要がなくなり、食事を作る時間の短縮にもつながるため多くのユーザーから支持を集めています。

サブスクリプション型ビジネスのヒントになるIoT


これまで多くの企業では、モノを製造し販売するというビジネスモデルで事業を運営してきました。しかし、このような仕組みを根底から変えてサブスクリプション型のビジネスモデルに移行することは決して簡単なことではありません。

そこで、重要なヒントになるのがIoTのテクノロジーです。IoTのセンシングデバイスを活用すると、モノの状態をリアルタイムで把握することができます。

たとえば九州地方にある食品メーカーでは、明太子を主力商品に事業を展開しています。冷蔵庫に保管されている明太子の重量を、IoT機能を搭載した専用トレーが計測。もうすぐ明太子がなくなるタイミングで、自動的に発注され届く仕組みを考案しました。
株式会社ふくや

ビジネスモデルの改革に役立つテクノロジーの力

食品メーカーや製造業にとって、ITの分野は関連性が低いと思われがちです。しかし、時代の変化とともにサブスクリプション型のような新しいビジネスモデルが生まれ、それに対応していくためにはテクノロジーの力が求められることもあります。

「うちの会社ではサブスクリプションに対応できない」「仕組みやルール、ビジネス慣習を変えるのは無理」と諦めるのではなく、時代のニーズを汲み取って多くの消費者に愛される商品やサービスに育て上げることも重要なのではないでしょうか。