近年、スマートホームのアイテムとして存在感を増してきているのが「スマートロック」でしょう。
スマートロックは、玄関ドアに後付けで取り付けることでカギをスマート化、スマホアプリで施錠・解錠の確認や操作ができるIoTデバイスです。
ここ数年で、海外メーカーだけでなく日本のスタートアップも参入し、ラインナップが非常に豊富になりました。
そのため、どのメーカー・機種のスマートロックを選ぶべきか悩んでしまいます。
比較の際には、機能面はもちろんですがスマートロックにおいては設置方法にも注目しておかなければなりません。
本記事では、賢いスマートロックの選び方をお伝えし、家のカギを最適かつスムーズな形でアップデートするお手伝いをしていきます。
目次
スマートロックを選ぶ4つのポイント
スマートロックを選ぶ際に注目したいのは、具体的には以下の4つのポイントです。
- 自宅のドアに設置できるか
- 設置方法は手間と見た目どちらを取るか
- 利便性に直結する施錠・解錠方法
- 気の利いた便利機能があるか
主に、設置と機能でそれぞれ2点ずつあります。詳しく見ていきましょう。
自宅のドアに設置できるか
まず、そもそも自宅のドアにスマートロックが設置できるのかから確認しましょう。
スマートロックの設置方法にもよりますが、基本的な設置条件はドアやサムターンの形状によって決まります。
特に重要なのが、ドア面やドアノブ、サムターンとスマートロックが寸法的に適合するかです。
具体的には、主に以下のポイントを中心にチェックしなければなりません。
- ドア面の形状がフラットか
- サムターンの形状や型式がスマートロックに対応しているか
- サムターンがボタンを押して回すものでないか
- ドアノブとサムターンが一体の台座型ではないか
- ドアノブとサムターン間の寸法
- ドア枠とサムターン間の寸法
スマートロックの設置条件やチェックポイントは、各メーカーごとにホームページなどへ掲載されていますので、自宅のドアと照らし合わせて確認しましょう。
設置方法は手間と見た目どちらを取るか
スマートロックの設置方法は、接着タイプと取替えタイプの2種類があります。
どちらにするかで、設置の手間や見た目が異なってきますので、ご自身の好みに合わせて選びましょう。
接着タイプ
スマートロックを、サムターンの上から覆い被せて設置する方法です。
接着テープで貼り付けることで、ドア面とスマートロックを固定します。
接着タイプは対応するサムターンが多いため、さまざまなドアへ設置が可能です。
また、設置の際に工具などを使用することがなく、取り外しも容易なので賃貸でも導入しやすいでしょう。
取替えタイプ
一方の取替えタイプは、すでにドアに付いているカギ(箱錠といいます)を取り外して、スマートロックに入れ替える設置方法です。
ドアの側面にあるラッチ部分を外して中の箱錠を取り外す必要があるため、ドライバーなどの工具が必要となります。
そのため、接着タイプよりは設置に手間がかかります。
その代わり、駆動部をドア内部に収められるため、取替えタイプの方が見た目がスッキリすることが多いです。
設置の手間があるとはいえ、基本的には中身を入れ替えるだけで専門工具が必要なわけではありませんので、設置自体の難易度はそこまで高くありません。
施錠・解錠の方法は利便性に直結
スマートロックを選ぶときに、最も慎重に検討したいのがスマートロックのメイン機能である施錠・解錠方法です。
日常生活の利便性に直結してくるため、スマートロック導入の効果を感じられるかを決めると言っても過言ではありません。
スマートロックの施錠・解錠方法には、次の5種類があります。
- ハンズフリータイプ
- スマホアプリ操作タイプ
- カードキータイプ
- テンキータイプ
- マルチタイプ
ハンズフリータイプ
スマートロックの施錠・解錠方法の中で、最も利便性の高い方法がハンズフリータイプです。
ハンズフリータイプは、スマートロックと連携したスマホが近づいたら解錠、離れたら施錠してくれます。
スマートロックとの連携は、あらかじめスマホアプリでBluetooth接続しておくだけでOKです。
ハンズフリータイプなら、荷物で両手がふさがっていてもカギを取り出す必要もなく、非常に快適な体験ができるでしょう。
ただ、Bluetoothの接続が悪いときには、正しく解錠してくれない場合もまれにあるため注意が必要です。
スマホアプリ操作タイプ
現在販売されているスマートロックに、ほとんど搭載されている施錠・解錠方法です。文字どおり、スマートロック専用アプリで施錠・解錠を操作します。
スマホさえあれば、いつでもどこでも施錠・解錠できるため、カギの閉め忘れがあっても問題ありません。
また、施錠・解錠状態をリアルタイムで確認できることに加えて履歴も記録してくれるため、セキュリティ観点では非常に安心できるでしょう。
ただ、施錠・解錠のたびスマホを取り出して操作する必要があるため、ハンズフリータイプと比べるとやや手間に感じるかもしれません。
カードキー/リモコンキータイプ
Suicaのように、ICチップを搭載したカードキーやリモコンキーをスマートロックに近づけて非接触通信で解錠するタイプです。
カードキータイプの場合は、ほとんどがオートロック機能を備えているので、解錠時のみカードキーを使用します。
スマホを持っていない子どもがいる家庭では、欠かせない施錠・解錠方法でしょう。
カードキーの代わりに、スマホの非接触機能を利用して解錠できるスマートロックもあります。
テンキータイプ
スマートロックにあるデジタル画面へ表示されたテンキーから、暗証番号を入力して解錠するのがテンキータイプです。
カードキータイプと同様に、オートロック機能が備わっていることがほとんどです。
ただ、暗証番号をセキュリティの観点で定期的な変更を実施するのであれば、子どもにとってはカードキーの方が安心でしょう。
一方で物理的なカギがないため、カードキータイプのようにカギを紛失するリスクはありません。
マルチタイプ
マルチタイプは、特定の施錠・解錠方法ではなく、上記に挙げた4つの方法を複数兼用しているスマートロックです。
「ハンズフリータイプ+スマホアプリ操作タイプ+カードキータイプ」、「スマホアプリ操作タイプ+テンキータイプ」など、メーカーによってさまざまな組み合わせがあります。
家族構成や生活シーンを思い浮かべながら、ご自身に最適な施錠・解錠機能を選択しましょう。
気の利いた便利機能があるか
スマートロックを比較する場合には、施錠・解錠以外の機能面にも注目しましょう。
特徴的な便利機能の中でも、特に有効と思われるのが以下の4つの機能です。
- 時限キーのシェア
- 電池切れ対応
- 火災時の緊急解錠
- ダブルロック対応
時限キーのシェア
施錠・解錠に関連したところでは、オートロックや開閉履歴の記録に加えて、時限キーのシェアも嬉しい機能です。
時限キーとはある時間帯に限定した特定人物へのデジタルキー発行のことで、メールやメッセージアプリで家族以外の人間ともカギをシェアできます。
ホームパーティや親戚の集まりで、複数人が出入りを繰り返す場合にわざわざ居住者がカギを開けずに済むので便利です。
電池切れ対応
スマートロックは電池駆動のものが多いため、定期的に電池交換をしなければ「知らない間に電池切れになって家に入れない」なんてこともありえます。
そもそも電池持ちの良いスマートロックを選ぶことが重要ですが、電池切れへの対応機能も注目しておきたいポイントです。
スマートロックの中には、電池残量の低下をスマホアプリで通知してくれるものもあります。
このほか、仮に電池切れになったときにコンビニで購入できる電池で給電して、1、2回の動作を可能にする機能も心強いでしょう。
火災時の緊急解錠
スマートロックには、火災時に緊急解錠してくれる機能を持ったものもあります。
火災が発生したら、いち早く外へ脱出しなければなりません。
しかし非常時には焦りもあるので、カギの解錠に手間取ることも十分にありえるでしょう。
そんなときでも、この機能があればスマートロックでモニターしている室温が一定温度を超えると、自動的に解錠してくれます。
ダブルロック対応
ダブルロックとは、サムターンが上下に2つ付いているタイプのカギです。今ではかなり一般的になりましたね。
セキュリティ性は向上しますが、スマートロックの多くがシングルロックのみ対応になっています。
片方だけにスマートロックを設置しても、もう一方がそのままならスマートロックの意味がありません。
現時点では、ダブルロックに対応している市販のスマートロックはほとんどありませんが、各メーカーが開発を進めています。
今後のアップデートで対応可能になるかもしれないので、購入時は最新情報を確認してましょう。
おすすめスマートロックの紹介
では、スマートロックのおすすめモデルをいくつか紹介していきます。
Qrio「Qrio Lock」
Qrio Lock (キュリオロック) スマホで自宅カギを解施錠できるスマートロック Q-SL2
ソニーからスピンアウトした、日本のスタートアップQrio社が開発するスマートロックです。
スタイリッシュなデザインで、ソニーらしい製品に仕上がっています。
当初は、Qrio Smart Lockという機種を販売していましたが、現在は後継機のQrio Lockがあります。
項目 | 概要 |
---|---|
設置方法 | 接着タイプ |
施錠・解錠方法 | – ハンズフリー – スマホアプリ操作 – 専用リモコンキー |
その他の機能 | オートロック – 外出先からの操作 ※Qrio Hubが必要 – 時限キーのシェア – スマートスピーカー連携 – Apple Watch連携 – 電池残量低下の通知 |
電池寿命 | 180日(リチウム電池2本)、360日(リチウム電池4本) |
価格(税込) | 20,800円 (Amazon) ※2019年11月 |
公式Webサイト | Qrio Lock(キュリオロック) |
CANDY HOUSE「SESAME mini(セサミミニ)」
【Works with Alexa認定製品】 セサミ スマートロック本体 シャンパンシルバー 取付工具不要 スマートフォンでドアを施錠解錠 Google Assistant/Siriショートカット/Apple Watch/IFTTT対応
SESAMEは、クラウドファンディングで製品化されたスマートロックです。
他のスマートロックに比べて安価なので、気軽に導入できます。SESAMEという初期モデルから、SESAME miniへ改良されています。
項目 | 概要 |
---|---|
設置方法 | 接着タイプ |
施錠・解錠方法 | – ハンズフリー – スマホアプリ操作 |
その他の機能 | – オートロック – 外出先からの操作(WiFiアダプターが必要) – 時限キーのシェア – スマートスピーカー連携 – Apple Watch連携 – IFTTT連携 – 電池残量低下の通知 |
電池寿命 | 510日 |
価格(税込) | 14,800円 (Amazon) ※2019年11月 |
公式Webサイト | セサミ スマートロック |
ライナフ「Ninja Lock2」
NinjaLock2(ニンジャロック2) スマートロック スマホで鍵の開閉やオートロックが可能に
ライナフ社の「Ninja Lock2」は、他のスマートロックと比べると割高に感じますが、スマホで外出先操作するために付属品が必要ないという特徴があります。
さらに、別売りキーパッドを装着するだけでカードキーやテンキー操作も可能です。
項目 | 概要 |
---|---|
設置方法 | 接着タイプ |
施錠・解錠方法 | – ハンズフリー – スマホアプリ操作 – カードキー(別売りキーパッド) – テンキー(別売りキーパッド) |
その他の機能 | – オートロック – 外出先からの操作 – 時限キーのシェア – スケジュール自動施錠・解錠 – スマートスピーカー連携 – Apple Watch連携 – 電池残量低下の通知 |
電池寿命 | 365日 |
価格(税込) | 41,800円 (Amazon) ※2019年11月 |
公式Webサイト | NinjaLock |
サムスン「SHS-2920」
【SHS-1321(ブラック)】SAMSUNG SMARTデジタルドアロック [日本語説明書付] サムスン
韓国の大手家電メーカーであるサムスン社からも、スマートロックが販売されています。
ハンズフリーでの施錠・解錠はできませんが、代わりにカードキーやテンキーが標準装備です。
指紋の跡で暗証番号がバレない配慮として、暗証番号入力前にランダム表示される数字タッチ機能があります。
項目 | 概要 |
---|---|
設置方法 | 取替えタイプ |
施錠・解錠方法 | – スマホアプリ操作 – カードキー – テンキー – キータグ |
その他の機能 | – オートロック – 外出先からの操作 – 電池残量低下の通知 – 電池切れ時の緊急対応 |
電池寿命 | 記載なし |
価格(税込) | 12,290円 (Amazon) ※2019年11月 |
公式Webサイト | 日本語ページなし |
スマートロックは設置方法と機能で選べ!
玄関ドアのカギは、エアコンなどの家電製品とは違って操作が施錠と解錠しかありません。
だからこそ、各メーカーはさまざまな便利機能を搭載して、他社との差別化を図っています。
スマートロック選びでは、普段使いの利便性を左右する施錠・解錠方法はもちろんのこと、電池残量の通知など緊急対応機能も注目しておきたいです。
また、設置方法は2種類ありますが、工具が必要なく簡単な接着タイプがおすすめできます。
比較ポイントを正しく把握して、自分の生活スタイルに合ったスマートロックを賢く選び取りましょう。