世界で注目されているSDGsとは何か?AIやIoTなどのテクノロジーが果たす役割

世界で注目されているSDGsとは何か?AIやIoTなどのテクノロジーが果たす役割 AI

世界的な取り組みとして注目されているSDGsですが、言葉は聞いたことがあっても詳しい内容までは分からないという方も多いのではないでしょうか。現在、国内外問わずさまざまな企業がSDGsで掲げられている目標を達成するために、事業計画の一環として取り組んでいるケースも増えています。

特に日本ではSociety5.0との関連性も注目され、AIやIoT、5Gといった最新鋭のテクノロジーを駆使した新たな事業や取り組みが始まっています。今回の記事では、そもそもSDGsとは何なのか、なぜSociety5.0との関連性が注目されているのか、そしてSDGsの目標達成に向けてテクノロジーはどのような役割を果たすのか、詳しく解説していきます。

SDGsとは

SDGsとは

SDGsとは「Sustainable Development Goals」のことを指し、日本語では「持続可能な開発目標」と直訳されます。SDGsは2015年の国連サミットにおいて提唱され、現在ではさまざまな国と地域、企業までもが積極的に取り組むようになりました。

SDGsでは17項目の目標が掲げられており、これらを2030年までにクリアすることとしています。

1. 貧困をなくそう
2.飢餓をゼロに
3.人々に保健と福祉を
4.質の高い教育をみんなに
5.ジェンダーの平等
6.安全な水とトイレを世界中に
7.エネルギーをみんなに、そしてクリーンに
8.働きがいも経済成長も
9.産業と技術革新の基盤をつくろう
10.人や国の不平等をなくそう
11.住み続けられるまちづくりを
12.つくる責任使う責任
13.気候変動に具体的な対策を
14.海の豊かさを守ろう
15.陸の豊かさも守ろう
16.平和と公正をすべての人に
17.パートナーシップで目標を達成しよう

これらの取り組みは、従来、企業イメージの向上などを目的としてCSR(企業の社会的責任)として紹介されるケースが多かったのですが、現在では新規事業を計画したり、既存の事業をSDGsの目標に照らし合わせたとき、どう貢献できるかが重視されるようになってきています。

SDGsの目標達成に重要なsociety5.0

SDGsの目標達成に重要なsociety5.0

SDGsの目標達成に向けて世界中の企業が積極的に取り組んでいますが、日本国内においても多くの企業が参画するようになりました。しかし、SDGsで掲げられた目標は、いずれも規模が大きく漠然とした課題ばかりであり、具体的にどのように取り組めば良いのか分かりづらいものです。

そこで、日本国内で注目されているのがSociety5.0という考え方です。Society5.0とは内閣府の「第5期科学技術基本計画」で提唱されたもので、「サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)」と定義されています。

そして、Society5.0の実現には従来のIT技術だけではなく、AIやIoT、5G、ビッグデータといった先進的なテクノロジーが不可欠であり、これらを高度に融合することによってさまざまな社会課題が解決できると期待されているのです。

社会課題の解決はSDGsで掲げられた複数の目標にも直結していることから、日本国内においてはSDGsとSociety5.0が極めて関連性の高いものとなっています。

SDGsに役立つ先進技術の活用事例

SDGsとSociety5.0は密接な関係にあり、先進技術の活用は不可欠であることは分かったものの、さらに分かりやすく解説するためにいくつかの事例をピックアップしてみましょう。

今回は、それぞれの事例ごとに主に活用される要素技術と、SDGsで掲げられている目標の中でどれが該当するのかも合わせて紹介します。

自動運転

自動運転

【SDGsに該当する目標】
エネルギーをみんなに、そしてクリーンに
働きがいも経済成長も
産業と技術革新の基盤をつくろう
住み続けられるまちづくりを
つくる責任使う責任

【要素技術】
AI・IoT・5G

自動運転技術はAIやIoTを活用した代表的な事例として取り上げられることも多く、もっとも注目を集めている事例でもあります。実際に国内外の自動車メーカーは積極的に自動運転技術への投資・研究開発を行っており、自動車メーカーだけではなくITや家電メーカーの中にも自動運転車の開発に乗り出す事例もあります。

自動運転技術が確立されると、これまでのような交通事故のリスクは大幅に減少するほか、産業分野への応用も進めば企業の生産性向上にも貢献します。また、EV(電気自動車)が本格的に普及していけば、エネルギー問題や温暖化問題への解決にもつながっていくことでしょう。

遠隔医療

遠隔医療

【SDGsに該当する目標】
人々に保健と福祉を
産業と技術革新の基盤をつくろう
人や国の不平等をなくそう
住み続けられるまちづくりを

【要素技術】
AI・IoT・ロボティクス

新型コロナウイルス感染症の拡大によって、日本でも2020年からオンライン診療の規制緩和が進みました。さらに医療用AIやIoT、ロボティクスの技術が進化していくと、診察そのものはもちろん、遠隔地からの手術も可能になると期待されます。

都心部と地方で生じている医療格差の問題も、遠隔医療の技術が確立されれば解決に向かうことでしょう。

スマート物流

スマート物流

【SDGsに該当する目標】
エネルギーをみんなに、そしてクリーンに
働きがいも経済成長も
産業と技術革新の基盤をつくろう
住み続けられるまちづくりを

【要素技術】
AI

自動運転やドローンなどの技術が発展していくと、AIの技術をかけ合わせたスマート物流も実現されると期待できます。物流業界は深刻な人手不足に陥っており、ドライバー1人あたりに過大な負荷がかかっている状況です。

しかし、スマート物流によって物流ルートの最適化が実現されると、限られた人員の中でも効率的な荷物の配送が可能になるでしょう。ドライバーや構内作業員の長時間労働は削減されるほか、交通事故も減り安全な街づくりにも貢献できると期待されます。

スマート農業・スマート漁業

スマート農業・スマート漁業

【SDGsに該当する目標】
貧困をなくそう
飢餓をゼロに
働きがいも経済成長も
産業と技術革新の基盤をつくろう
住み続けられるまちづくりを
海の豊かさを守ろう
陸の豊かさも守ろう

【要素技術】
IoT

食糧問題に直結する農業や漁業などの一次産業は、年々従事者が減少し深刻な問題となっています。特にSDGsで掲げられている「海の豊かさを守ろう」「陸の豊かさを守ろう」という目標にも直結し、結果として将来の貧困や飢餓から日本を救うことにもつながります。

スマート農業ではIoTデバイスによって環境データが収集され、状況に応じて農薬や肥料の散布量が把握できるほか、季節に応じてどのような農作業が求められるのかが分かるようになります。また、スマート漁業においては、特に養殖場などで環境データを収集しながら、与える餌の適切な分量も把握しやすくなるでしょう。

このように、AIやIoTによるスマート農業・スマート漁業が確立されると、農業や漁業の技術が後世まで継承され、科学的データに基づいた生産計画が立てられるようになります。