ARやVRといったリアリティのある体験を可能にする技術が注目を集めています。これらは「xR」とよばれることも多いのですが、なぜ今注目されるようになったのでしょうか。主にエンタメ分野で目にすることが多いこれらの技術ですが、実は観光や不動産をはじめ、その他ビジネスの分野においても実用化が期待されています。
今回の記事では、そもそもxRとは何なのかを紹介するとともに、ARやVR、その他の技術との違いについても詳しく解説していきます。5GやIoTなどの分野とも関連性が深いため、新規事業の検討においてもぜひ参考にしてみてください。
目次
そもそもxRとは何か?
xRとは一言で表すと、「AR」や「VR」のように「○R」と名のつく技術の総称として使われる言葉です。「エックスアール」と読むことが多いですが、「エックスリアリティ」「クロスリアリティ」と呼ばれることもあります。これらに共通しているのは、リアリティのある体験を提供する仮想空間技術という点です。
ちなみに、ARやVRはxRのなかでも知名度が高く一度は目にしたことのある方も多いと思いますが、実はこれ以外にも「MR」や「SR」といった技術も存在し、これらもxRに含まれているのです。
ARやVRの違い
xRに含まれるARやVR、そしてMR、SRのそれぞれの違いについて解説します。
AR
ARは拡張現実とよばれる技術で、「Augmented Reality」の略称です。分かりやすい例を出すと、「ポケモンGo」や「ドラクエウォーク」などが代表的です。スマートフォンなどのカメラで撮影した映像にデジタルコンテンツを掛け合わせ、あたかも現実に存在しているかのような映像を映し出すことができます。
CGなどの映像技術と異なるのは、ARはあくまでもリアルタイムに映像がスマートフォンに映し出されることです。
VR
VRは仮想現実ともよばれ、「Virtual Reality」の略称です。ARはリアルな現実の映像にコンテンツを掛け合わせる技術ですが、VRの場合は完全に仮想の世界です。ディスプレイの前に手を伸ばしてもARとは異なり手が映し出されることはなく、仮想現実の世界が映し出される点でARとは根本的に異なります。
スマートフォン向けの映像コンテンツや、「PlayStation VR」などのようにゲームの分野での活用が進んでいます。
MR
MRは複合現実ともよばれ、「Mixed Reality」の略称です。ARやVRよりも一歩進んだ技術で、複数人で仮想空間のコンテンツを楽しむこともできます。
MRの象徴的な活用事例はまだまだ少ないですが、たとえば分譲住宅の案内を行う際に、家の一部をタッチするとそれぞれの特徴がポップアップで出てきたりと、近未来的な使い方が期待できます。
SR
SRは代替現実ともよばれ、「Substitutional Reality」の略称です。現実の世界で発生している事象と過去に起こった事象を重ね合わせるような技術で、映像を一目見ただけではどれが現実で起こっているものなのかが判別できないほどの精度を誇ります。
xRのなかでももっとも先進的な技術で、活用されている事例は極めて少ないですが、将来性が期待される技術のひとつです。
なぜxRが注目されるようになったのか?
xRに対応したコンテンツが続々と登場しており注目を集めていますが、そもそもなぜこれほどまでにxRが注目されるようになったのでしょうか。
もっとも大きな要因としては、5Gによってネットワークの通信速度が大幅に向上し、大容量のコンテンツもやり取りできるようになったことが挙げられます。xRのコンテンツはいずれも従来の映像コンテツとは比べ物にならないほど大容量で、4Gのネットワークではデータのやり取りに時間を要してしまいます。そこで、5Gのネットワークを活用することによって安定的な通信が可能になります。
また、新型コロナウイルスの影響も無視できないポイントといえるでしょう。非接触のサービスや仕組みが求められる世の中になり、現地でしか楽しめなかったエンタメコンテンツもxRによって臨場感溢れるものに進化しています。
xRで実現が期待されるもの
xRの分野はまだまだ始まったばかりの領域ですが、ビジネス分野での活用が徐々に検討されています。たとえば不動産物件の内覧にVRを活用することで現地に行く必要がなくなったり、旅行先の下見にVRを活用する用途も考えられるでしょう。
また、家具の製造や販売を手掛ける企業においては、ARを活用して部屋とのマッチングを調べられるスマホアプリをリリースするなど、消費者にとっても利便性の高いサービスが検討されています。
新型コロナウイルスの影響もあり、ニューノーマルの時代に対応した新たなビジネスモデルへの変革が迫られています。そのような中で、xRはこれからの時代になくてはならない技術に進化していくと期待されているのです。