スポーツ分野においてもIoTが活用され始めています。私たちはスポーツをしている時、スポーツを観戦している時、「もっとこうなったら良いのにな」と感じる時はありませんか?そんなスポーツを私たちの理想の形に導くのがIoTです。
この記事では、スポーツ分野へのIoT活用事例を4つご紹介します。
目次
センサー内蔵のボールで選手の調子をモニター
画像引用元:Technial Pitch
野球をしている方なら誰でも、「ボールの投げ方は正しいのだろうか」「日本ではどれくらいのレベルなのかな」と思ったことがあるでしょう。投球の具合や自分のレベルが見える化できたらモチベーションも上がりますよね。
実は、自分の投球データやレベルが図やグラフで確認できる野球ボールがあるのです。見た目は普通の硬式野球ボール「Technial Pitch」には、内部にセンサーが取り付けられています。選手がボールを投げたときにセンサーがそれを検知して、腕の振りの強さや速度、回転数などを計測します。
計測したデータはBluetoothによってスマートフォンに送信され、ユーザーはアプリケーションに表示された各データを確認できます。従来、自分のコンディション把握や、選手に対する指導は経験と感覚で行ってきましたが、「Technial Pitch」で投球をデータ化することで、科学的な裏付けを基にできるようになりました。
今までは監督やコーチから言葉と動作で指導されるだけで分かりづらかった方も、投球を画像やグラフで確認できると理解しやすいですよね。センサーモジュールは、角速度センサー・加速度センサー・地磁気センターの3つが搭載されており、ピッチングタイムやボールの回転をパソコン又はスマホアプリから確認できます。
また、年齢ごとの平均回転数や変化量もグラフで見られるので、自分が全国レベルでどれくらいなのかも把握できます。さらに今後は、選手たちのデータをAIで解析してアドバイスを送ったり、AI(人工知能)が最適な指導者を探し出したりできる機能を追加する予定です。
自宅でフィットネスプログラムに参加できる「WEBGYM LIVE」
画像引用元:WEBGYM LIVE
最近は、スポーツジムへ通わなくてもスマホアプリなどで簡単に筋トレやフィットネスが行えるようになりました。さらに自宅で行えるフィットネスは進化しているようです。
東急スポーツオアシスは、自宅でフィットネスバイクのプログラムに参加できるiOS向けアプリ「WEBGYM LIVE」を発表しました。「WEBGYM LIVE」を使用すると、プログラムのライブ配信によりフィットネスジムへ通わなくてもインストラクターによるレッスンが受けられるようになります。
従来のフィットネス系アプリでは、予め録画されたレッスンを見ながら運動するだけでしたが、「WEBGYM LIVE」はプログラムがライブ配信されるのでモチベーションを維持しながら運動を続けられます。
「WEBGYM LIVE」内のコンテンツはライブ配信だけでなく、ユーザーがいつでも運動できるように過去のレッスンも公開される予定です。フィットネスバイクだけでなく、ヨガやグループエクササイズのプログラムも追加される予定です。
ドローンと仮想空間を活用したウインドサーフィンの観戦
画像引用元:GULLCAST
海のスポーツとして有名なウインドサーフィン。しかし海上スポーツには、陸地にいる人達からは観戦しづらいという欠点がありました。そこで開発されたのが「GULLCAST」というスマートフォンアプリです。
「GULLCAST」では、仮想空間に海上でのレースの様子が映し出され、選手名や速度も表示されるので、陸地にいながら遠く離れた海上でのレース状況が把握できます。
今までも陸地の会場には大型スクリーンが設置されており、ドローンが撮影したレースの様子を眺めることができました。しかし、カメラ映像だけではどこにどの選手がいるかはっきりと確認できません。
そのため、ドローンによる実際の映像と仮想空間を用いたレースの状況を併せて確認することで、観客はよりリアリティあるレースを楽しめるようになるのです。
観客の表情やしぐさからエキサイティング具合を判断できる
スポーツを観戦する観客がどれほど盛り上がっているか、IoTを活用すると一目瞭然です。株式会社ウフル、株式会社NTTデータ経営研究所、追手門学院大学上林研究室は、観客のエンゲージメントを数値化する実証実験を行っています。
スタジアムやアリーナでのスポーツに観客を呼び込むには、今まで観客がどんな試合に盛り上がり楽しんだか分析し、同じようなエキサイティングな体験を再びしてもらえるように工夫を凝らさなければなりません。
しかし、従来はスポーツ観戦後の観客にアンケートやインタビューをとる程度しか満足度を確認する手段はありませんでした。そこでIoTセンサーを活用して、観客の表情・姿勢・しぐさから感情を分析する方法が開発されました。
画像引用元:NTTデータ経営研究所
例えば、観客の口角が下がり口数も少ないと「スタジアムの混雑に疲労している」と推測でき、座席から立ち上がる頻度が増えると「試合にエキサイティングしている」と判断できます。
さらに音声データも収集することで、観客の盛り上がり具合をより精度高く判断できるようになりました。
IoTの活用でスポーツがより楽しめる時代へ
「Technial Pitch」を使うと、監督やコーチがいない時でもスマホで簡単にボールを投げる時の強さや時間を確認できるので、自主練習にも活用できますね。また、わざわざスポーツジムまで出かけなくても「WEBGYM LIVE」でプログラムのライブ中継を見ながら自宅でトレーニングも行えます。
ウインドサーフィンを観戦する時も陸地の大画面でレースの様子を観られて、さらにドローンと仮想空間を利用した詳細なレース状況が把握できると、海上から離れていてもレースを楽しめます。
そして、観客のエキサイティング具合をセンサーで読み取りデータ化できれば、アリーナやスタジアムをより観客に喜んでもらえるように工夫できます。IoTによって、スポーツがますます盛り上がること間違いありませんね。