次世代を担うテクノロジーとして注目されているもののひとつにIoTがあります。
言葉は聞いたことがあっても、具体的にどのような技術なのか、IoTによって何が解決できるのかよく分からないという方も多いのではないでしょうか。
そこで今回の記事では、IoTの基本的な内容はもちろん、身近な活用事例や技術要素の詳細、今後IoTはどう発展していくのかも含めてご紹介します。
新規ビジネスのアイデアに活用しようと検討している方も多いと思いますが、ぜひ最後までお読みいただき参考にしてみてください。
目次
IoTとは
まずはIoTの基本的な情報から解説していきましょう。
そもそもIoTとは、「Internet of Things」の略称です。これを日本語に直訳すると「モノのインターネット」となり、その名の通りあらゆるモノをインターネットで接続するために必要不可欠な技術といえます。
しかし、ここで疑問に感じるのが「モノがインターネットに接続されると何のメリットがあるのか?」ということではないでしょうか。たとえば自宅にあるモノがインターネットに接続されたというケースを想定して考えてみましょう。通常、自宅の照明や空調などは自宅の中に人がいて直接操作しなければコントロールすることはできません。
しかし、たとえば照明器具やエアコンがネットワークに接続されていたと仮定するとどうでしょうか。外出先で照明の消し忘れに気付いたとしても、スマートフォンから遠隔で照明を消すことができ、同様に帰宅時間に合わせて空調を設定しておくことも可能になります。
IoTの役割は大きく3つに分かれます。空調や照明の事例のように離れた場所から操作すること、さまざまなセンサーを活用してモノの状態を判断すること、そしてモノ同士がネットワークに接続して連携することです。これらの役割を組み合わせながら、現在もIoTを活用したさまざまなシステムやサービスが開発、検討されています。
IoTの活用事例
IoTの本質は、これまで一見インターネットとは関連性がないように見えたモノがネットワークに接続されたとき、大きなイノベーションが起こるということです。
ここからは、実際にすでにIoTの技術を活かし開発された商品をいくつかご紹介していきましょう。
スマートスピーカー
AmazonのEchoシリーズやGoogle Home、LINEのClovaシリーズなど、さまざまなスマートスピーカーが登場しています。従来、スピーカーといえば単に音を出すための機械でしたが、IoTの技術でスピーカーにネットワーク接続機能が搭載されたことにより、多様な用途に活かせるようになってきました。
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音楽再生はもちろん、天気予報やニュースの読み上げ、レシピの読み上げなど、両手が塞がっていたり朝の忙しい時間でスマホを見る時間も確保できない場合に活躍する機能が充実しています。タッチパネルのスマートフォンとは異なり音声によるコミュニケーションをとるため、スマートスピーカーの多くにはAIの音声認識システムが搭載されています。
もっと分かりやすくいえば、iPhoneのSiri、AndroidのGoogleアシスタントの機能がスピーカーに搭載されているといったほうが良いでしょう。IoTを活用してくためには、スマートスピーカーのAIアシスタントのように複数の技術を組み合わせながら開発する必要があります。
スマートウォッチ
Apple Watchに代表されるスマートウォッチも高い人気を集めています。これも従来のような単純な時計機能だけではなく、脈拍や睡眠の質などを計測できる機能が搭載されています。常に身につけておく時計だからこそ、体のコンディションや変調を計測できる機能は理にかなっているといえるでしょう。
さらにはスマートウォッチとスマートフォンを連携させてデータ管理や音楽再生、簡単なメッセージの返信機能なども搭載され、より身近なデジタルデバイスとして地位を確立しています。
ドローン
ドローンはスマートフォンとWi-FiやBluetoothで連携していますが、さらに広範囲で飛行させられる技術も開発されています。KDDIでは携帯電話ネットワークを活用した「スマートドローン」とよばれるサービスを検討しており、従来のWi-FiやBluetoothとは比べ物にならないほど広いエリアをカバーできます。
携帯電話ネットワークを活用した自律飛行が実現できれば、ドローンの操縦者がいない地方でも輸送や建設作業などに活かすことができると考えられており、将来的に大きな期待が寄せられています。
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IoTに欠かせないセンシングデバイス
IoTの重要な役割のひとつに「センサーを活用してモノの状態を判断する」ことが挙げられます。これを実現するためには、さまざまなセンシングデバイスが欠かせません。代表的なセンシングデバイスの事例をいくつかご紹介します。
気温・湿度センサー
気温や湿度などの情報はセンシングデバイスのなかでももっとも基本的な項目として挙げられます。IoTを農業に活用するスマート農業などにおいても、気温や湿度は欠かせない情報であるほか、たとえば自動運転技術においても必要不可欠です。カメラで撮影した映像とともに、気温や湿度などからも路面の凍結状況を判断する必要があるためです。
照度センサー
省エネのための照明の調節などに活用されるのが照度センサーです。日中と夜間で照明の強度を自動的に計測、判断し、IoTによって自動的に省エネモードに設定する際などに有効です。また、人感センサーや画像センサーなども併用することによって人がいない場所の照明を落とすシステムを設計する際などにも活用されます。
騒音センサー
建設現場などで周辺住民に対する騒音対策として活用されるのが騒音センサーです。たとえば工事現場の特定箇所に騒音センサーを取り付けておき、作業中の騒音を計測。一定水準の騒音を検知したら工事責任者などに通知されるシステムなどが設計できます。また、オフィス内に取り付けておけば最適なオフィス環境の維持にもつながり、総務部署の業務負担軽減にも役立ちます。
今後のIoTはどう進化する?
今回いくつかのIoTの事例をご紹介してきましたが、いずれにおいても重要なポイントは「IoTだけではなく複数のテクノロジーを併用している」ことが挙げられます。IoTは単体だけで機能するものではなく、AIやその他ネットワーク、デバイスなどがあって初めてその役割を果たすことができます。そのため、ひとつの技術に偏るのではなく、あくまでも複合的にさまざまなサービスや技術を併用していくことで真の価値が見出されるはずです。