ドローンとは?覚えておきたい飛行ルールの基本から活用方法まで紹介

ドローンとは?

今や多くの人が一度は耳にしたり目にしたことがあるであろうドローン。ラジコンのヘリコプターのようなイメージを持っている人も多いと思いますが、ドローンのことを正確に理解している人は意外と少ないです。
そもそもドローンとは何のために生まれたのか、現在はどのような用途に活用されていて、将来的にどう発展していくのかも含めて詳しく紹介していきましょう。

また、ドローンを飛行させるうえで重要な法律的な問題についても紹介します。これから趣味でドローンを始めようとしている人や、ビジネスにドローンを活用しようと考えている人はぜひ最後までお読みいただき、参考にしてみてください。

ドローンとは?

ドローンの基本情報
まずはドローンの基本的な定義から紹介していきましょう。ドローンとは日本語で「無人航空機」を表し、その名の通り機体に人が乗ることなく操作できる航空機のことを指します。航空法では「遠隔操作または自動操縦によって飛行させることができるもの」とも定義されており、当然のことながらこのなかには「ラジコン機」のようなおもちゃも含まれることになります。

ドローンと聞くと従来から存在しているラジコンのヘリコプターのようなものは除外されると考えられがちですが、実際には法律によってこれらもドローンと同一のものとして分類されていることが分かります。ちなみに、航空法では本体とバッテリーを合わせた重量が200g以下のものはドローンから除外されるルールとなっていますが、一般的にはこれらを「ホビードローン」と呼ぶことも多く、小型のドローンとして認識している人が多いです。
ドローンという名称は蜂を意味する言葉であり、ドローンを飛行させる際の音が蜂の羽音に似ていることから名付けられたという説もあります。

ドローンの種類

ドローンの種類
一口にドローンといっても、実はさまざまな種類のものが存在します。今回は代表的なドローンを3つの種類に分けて紹介しましょう。

マルチコプター

ドローンのなかでももっとも一般的な形状なのがこのマルチコプターとよばれるタイプです。マルチコプターとは本体に複数の回転翼(羽)を搭載したドローンであり、ヘリコプターにも似た形状をしているのが大きな特徴です。

マルチコプターのなかでも回転翼の数に応じて呼び名があり、回転翼が3つのものをトライコプター、4つのものをクアッドコプター、6つのものをヘキサコプターと呼びます。基本的にドローンの大きさに応じて回転翼の数も増えていき、飛行する際の安定性も高まります。

マルチコプターのメリットとしては、搭載する羽の大きさや形状、数に応じて大きな荷物を運べるほどのパワーを発揮できる点が挙げられます。たとえば通信販売を利用したユーザーに直接ドローンを使って商品を届けたり、農薬を上空から散布する目的にも活用できます。また、将来的にドローンを使った「空飛ぶタクシー」のような技術が開発されたとき、これを実現できるのもマルチコプターのドローンが有力となるはずです。

このように、マルチコプター型のドローンはさまざまな利用用途が検討でき、もっとも広く普及しているタイプのドローンのため安価であることもメリットのひとつです。

固定翼型ドローン

固定翼型ドローンは軍事用など特殊な用途で使用されることが多く、一般にはほとんど流通していないタイプのドローンです。マルチコプター型のドローンは近距離で重量のある荷物を運ぶ際などに活用できますが、固定翼型ドローンの場合は長距離を飛行する前提で設計されているものが多いです。そのため、固定翼型ドローンは古くから軍事用の偵察機などに多く採用されてきた歴史があります。

水中ドローン

航空法におけるドローンとはあくまでも上空を飛行する無人の機体を意味する言葉として使われますが、最近ではドローンも多様化し空中だけではなく水中を動き回る専用のドローンも存在しています。釣りやエンタメ分野などの用途がメインで、普段見られない水中の映像を自由に撮影できることから徐々にニーズが高まっています。動画サイトでは水中ドローンを使って撮影された動画も多数アップされており、非日常的で神秘的な映像を楽しむことができます。

ホビードローン

航空法を取り上げた際にも紹介しましたが、200g以下の超小型のものをホビードローンと呼びます。商品によってはトイドローンやミニドローンなどと呼ばれることもありますが、これらはドローン初心者でも比較的簡単に扱えることに加え、価格も手頃なため人気のタイプです。

軽量であるため屋外での利用時には風の影響を受けやすいデメリットがありますが、一方で万が一落下させても本体へのダメージを受けにくいというメリットもあります。もしこれからドローンを始めてみたいという人や、屋内でも手軽に飛ばせるドローンがほしいという人はホビードローンがおすすめです。

ドローンの接続方法

ドローンの接続方法
市販されているドローンの多くはスマートフォンまたは専用のコントローラーを使って操作を行います。当然ワイヤレスでの通信によってコントロールすることになるのですが、このときに使われるのがWi-FiまたはBluetoothです。事前にスマートフォンとドローンをWi-Fiに接続またはBluetoothでのペアリングを行い、初めて操作ができるようになります。

しかし、Wi-FiもBluetoothも当然のことながら電波の届く範囲は限定的です。あまりにも距離が離れてしまうと電波強度が弱くなり、やがて電波が届かない場所にまで到達してしまうと制御不能になり、最悪の場合落下してしまうことになります。
ドローンの機種によっても飛行距離は異なり、数百mのものもあれば数kmまで飛行できるものもあります。しかし、操縦者とドローンの間に障害物があるとその分距離は短くなり、さらには同時に複数台のドローンが飛行していると電波が混線しうまく通信できない状況も生まれます。

ドローンを安全に飛行させるためには見通しの良い場所で、できるだけ人が少ない場所を選ぶようにしましょう。ちなみに、複数台のドローンを飛行させる際にはWi-Fiの周波数を変えてみるのもおすすめです。2.4GHz帯と5GHz帯を選択できるため、それぞれ異なる周波数帯で接続することで混線を避けられるようになります。

覚えておきたいドローンの飛行ルール

ドローンの飛行ルール
ドローンを日本国内で飛行させる際には、いくつかの法律で定められたルールを知っておく必要があります。なかでも最も関連性が高いのが、航空法です。航空法ではドローンを飛行させて良い場所と原則禁止となっている場所が定められています。ドローンの飛行が原則禁止となっているのは、以下のいずれかに該当するポイントです。

航空法で原則禁止
  1. 地表または水面から150m以上の高さの空域
  2. 空港周辺の空域
  3. 人口集中地区の上空

国土交通省HP参照

このうち「人口集中地区の上空」については、国土交通省および国土地理院が発行している「地理院地図」でも確認ができます。ちなみに、人口集中地区の上空であっても「無人航空機の飛行に関する許可・承認」を得ればドローンを飛行させることは可能です。ただし、審査には時間を要するため、十分な余裕をもった申請が必要です。

また、ドローンは日中の時間帯に目視で確認できる状態での飛行が原則となっているほか、人口集中地区ではない場所であったとしても、イベント等で一時的に密集している場所で飛行させることもできません。これら航空法で定義されているのは200g以上のドローンであり、200g以下のドローンの場合は除外されます。

もう一点、日本でドローンを飛行させる場合に注意しなければならないのが電波法という法律です。日本国内で製造・販売されているドローンであれば問題ありませんが、海外から個別に輸入したドローンには「特定無線設備の技術基準適合証明」が取れていないものも存在します。これは通称「技適マーク」ともよばれ、電波を利用するあらゆる製品にはこの技適マークがないと違法になってしまいます。ドローン本体を購入して輸入すること自体に問題はありませんが、実際にそれを飛行させてしまうと違法になるため注意が必要です。

ドローンが注目される理由

ドローンはなぜここまで注目されるようになったのでしょうか。そこにはエンタメ目的の用途以外にも、さまざまな産業に活用できるほどの高いポテンシャルが秘められていることが挙げられます。ドローンには高性能のカメラが装着されており、これを活用すればビルやダム、鉄塔など高所の点検にも活用できるほか、災害時には被災状況を上空から確認することも可能です。

また、Wi-FiやBluetoothといった通信手段を、より広範囲で接続できる携帯電話用ネットワークに代替すれば活用の幅がさらに広がってくることでしょう。ドローンで撮影された映像をAIで解析することによって、農作物の生育状況を上空から俯瞰的に見極めることもできます。それに応じて農薬の量を調節すれば、農業の生産性もさらに向上するはずです。災害時には被災地までの自律飛行を可能にし、通信や交通手段が分断された場合でも迅速に情報収集ができるようになるはずです。

このように、ドローンは私たち人間が物理的に到達できないような場所にもすぐに向かうことができ、生産性の向上や災害時の復旧作業など極めて生活に密着した用途に活用できると考えられています。