デジタルサイネージとは?種類や活用するメリットも解説

デジタルサイネージとは 5G・IoT

最新のデジタル技術によってさまざまな業種の働き方が変わってきていますが、同時にテクノロジーを活用した新たなサービスや製品も続々と登場しています。たとえば広告業界の場合、これまではポスターや看板、新聞や雑誌の広告が一般的でした。しかしここ数年でデジタルサイネージとよばれる新たな広告が登場していることをご存知でしょうか。

今回の記事では、デジタルサイネージとはどのようなものなのか、活用するメリットや具体的な事例なども含めて詳しく解説していきます。

デジタルサイネージとは

デジタルサイネージの基本情報

サイネージとは日本語で看板のことを指す言葉です。すなわち、デジタルサイネージとはディスプレイや大型のプロジェクタなどを使った電子的な媒体による看板のことを意味します。

そもそもデジタルサイネージが誕生したのは今から40年以上前までさかのぼります。当時のテレビはブラウン管でしたが、アメリカのアパレルショップなどが店頭にビデオを接続したテレビを設置し、そこでファッション関連の映像を流しはじめたのが最初とされています。その後、日本でも同様の取り組みを行うお店はありましたが、テレビ画面も小さく効果は限定されていました。

しかし、2000年代に入ると液晶テレビが登場し、大画面化が進むとともに液晶パネルの価格も下落。大型ディスプレイが手に入りやすくなり、テレビ以外にもさまざまな用途に液晶パネルが活用されるようになりました。

2010年代にはスマートフォンやタブレット端末が登場するとともにクラウドサービスが本格的に普及していき、現在ではインターネットを活用して広告が配信できるデジタルサイネージが広く普及するようになったのです。

デジタルサイネージを活用するメリット

デジタルサイネージを活用するメリット
デジタルサイネージは従来の看板やポスターと比べてさまざまなメリットがあります。いくつか特徴的なポイントを紹介しましょう。

コストの削減

デジタルサイネージはポスターの貼り替え作業が必要ないため、印刷コストが不要となるほか、貼り替えに必要な人件費も節約できるメリットがあります。1店舗だけで考えると大きな影響はないかもしれませんが、チェーン店舗を複数経営している場合や新商品が頻繁に登場する業種などはポスターの貼り替え作業がなくなるだけでも大きなコスト削減が期待できます。

コンテンツの柔軟性

ポスターや看板を設置する場所によっては、時間帯によって通行する人の属性は大きく変わってくるものです。たとえば平日の朝や夕方はサラリーマンが多かったり、反対に平日の日中や土日は小さな親子連れの客層が多い場所もあるでしょう。そのような場合に、デジタルサイネージであれば時間帯によって配信するコンテンツを分けることもできます。特定の属性に向けたコンテンツが配信できるということは、それだけ広告に対する効果も高くなると期待されます。

マーケティングに活かせる

デジタルサイネージは従来の広告のように一方的に配信するだけではなく、ユーザーの特性やニーズを的確に把握する機能も搭載できます。たとえば広告を配信しているなかで足を止めて見た人の年齢や性別などを分析したり、通行人の人数を集計したりといった機能もAIを活用することによって実装可能。これによって、今配信している広告が本当に効果が見込めるのかを検証できます。

デジタルサイネージのデメリット

デジタルサイネージのデメリット
メリットの多いデジタルサイネージですが、反対にデメリットとして考えられるポイントもいくつか存在します。

導入コストが高い

デジタルサイネージを利用するためにはいくつか方法がありますが、もし液晶パネルを購入して展開する場合は高額な導入コストがかかってしまいます。特にネットワークに接続するタイプのデジタルサイネージの場合、デジタルサイネージ本体以外にも通信用の回線やセットトップボックスなどの専用機材も必要であり、それらを設置・設定するための費用も別途発生します。

通信費がかかる

ネットワーク接続タイプのデジタルサイネージでは、インターネット回線が必須となるため設置箇所にネットワーク環境がない場合は別途モバイルWi-Fiルーターなどを用意しなければなりません。当然のことながら毎月数千円程度の通信費がかかってしまいます。ただし、デジタルサイネージの中にはネットワークへの接続が不要なスタンドアロンタイプのものもあるため、必要に応じて選ぶのがおすすめです。

コンテンツの制作費用がかかる

広告コンテンツの制作費用がかかることはデジタルサイネージだけではなく看板やポスターなどにも共通していますが、問題なのはデジタルサイネージ用のコンテンツに対応できるか否かということです。

看板やポスターは静止画が基本ですが、デジタルサイネージの場合は映像などを駆使したコンテンツを制作することも多いもの。また、納品形態も紙などの素材に印刷するのではなく、デジタルデータとして納品しなければなりません。

デジタルサイネージの特性を十分理解し、効果的な広告を制作するためにはさまざまなノウハウが必要になるため、場合によってはこれまで依頼してきたコンテンツ制作会社から別の会社へ変更せざるを得なくなる可能性もあります。

デジタルサイネージの種類

デジタルサイネージの種類
ここまでの紹介のなかでも少し触れてきましたが、デジタルサイネージと一口にいってもさまざまな種類が存在します。今回は代表的な2つの種類に分けて解説しましょう。

スタンドアロン型

スタンドアロン型はネットワークに接続しないタイプのデジタルサイネージです。データの更新はUSBメモリやSDカードなどのメディアによって行い、ネットワーク環境がない場所でも電源さえあれば展開できるのが良いところ。

また、ネットワーク配信型のデジタルサイネージよりも安価ですぐにでも導入できます。ただし、コンテンツの配信には物理的にメディアを差し替えるなどの対応が必要なため、ポスターなどを貼り替える際の人件費と比較するとそれほどコスト的なメリットはないといえるでしょう。

ネットワーク配信型

今回デジタルサイネージのメリットとして紹介してきたのは、ネットワーク配信型を前提としています。オンラインに接続しているネットワーク配信型のデジタルサイネージは、たとえば10台、100台といった大量のデジタルサイネージがあったとしても、ワンクリックでコンテンツを一度に配信できます。

複数台のデジタルサイネージを導入する場合であれば、スタンドアロン型よりもネットワーク配信型のほうがメリットは大きいといえるでしょう。

デジタルサイネージの進化と今後

デジタルサイネージはすでに多くの企業や店舗に導入が進んでいますが、今後IoTやAI、5Gなどの先進的なデジタル技術によってさらに進化していくと考えられています。AIを活用すればマーケティングのツールとしても導入できるほか、5Gによる大容量ネットワークが拡充していけばARやVRといったコンテンツもデジタルサイネージへ活用されていくと考えられます。

また、広告以外でも企業の受付案内や商談などに活用されている事例も増えており、働き方改革を推進するツールとしても今後導入が進んでいきそうです。デジタル技術を活用した広告やプロモーションなどを検討している方は、ぜひ今回紹介したデジタルサイネージの導入に向けて考えてみてはいかがでしょうか。